入浴中・入浴後は転倒リスクが最も高い時間
高齢者の事故の中でも、入浴中・入浴後の転倒は特に多いといわれています。
それは、入浴という行為そのものが体に大きな負担をかけるからです。
お風呂に入ると体が温まり、血管が広がります。
その状態で急に立ち上がったり、浴槽から出たりすると、血圧が下がりやすくなります。
医療用語ではこれを 起立性低血圧 といい、
めまいや立ちくらみの原因になります。
さらに高齢者の場合、
・筋力低下
・バランス能力の低下
・反射神経の遅れ
が重なり、
「ふらっとした瞬間」に体を支えきれない ことが多くなります。
入浴中・入浴後は、
・ヒートショック
・立ちくらみ
・筋力低下
が同時に起こりやすい、
転倒リスクが最も高い時間帯 だという意識を、まず持つことが大切です。
なぜ浴室・脱衣所で転びやすいのか
浴室や脱衣所には、転倒につながる要因がいくつも重なっています。
・濡れて滑りやすい床
・温度差によるふらつき(起立性低血圧)
・視界不良(湯気・照明不足)
・寒さや焦りで急いで動きやすい
特に高齢者は、視力や色彩の識別能力が低下してきます。
湯気が立ち込める浴室内では、
床の境目や段差がとても見えにくくなります。
健常者であれば問題なくまたげる段差も、
高齢者にとっては
「見えない」
「認識できない」
危険なポイント になるのです。
転倒が起きやすい「3つのタイミング」
浴槽から立ち上がる瞬間
浴槽から立ち上がるときは、
起立性低血圧による めまい・立ちくらみ が最も起こりやすい瞬間です。
このとき大切なのは、
・急に立たない
・一度深呼吸をする
・手すりや浴槽の縁につかまる
という ワンクッション を入れること。
ほんの数秒の余裕が、転倒予防につながります。
体を拭こうとして前屈みになったとき
実は、体を拭く動作 は転倒リスクがとても高い動きです。
デイサービスや通所入浴では、
必ず 椅子に座って体を拭く よう指導していました。
ここで重要なのが、椅子の種類です。
・軽くて動きやすい椅子 → ❌
・重くてずっしりした椅子 → ⭕
・壁に寄せてずれない配置 → ⭕
前屈みになった瞬間に椅子が動くと、
そのまま転倒につながります。
「座って拭く」だけでなく、
「椅子が安定しているか」までが転倒予防 です。
脱衣所で服を履く・脱ぐとき
脱衣所は寒くなりやすく、
寒さで焦って着替えようとして転倒するケースが多くあります。
湯冷めを防ぐためにも、
・浴室内である程度体を拭いてから出る
・寒さを感じる時間を短くする
ことが大切です。
また、濡れた床で靴下を履く のは非常に危険です。
靴下は滑りやすく、転倒の原因になります。
浴室内でできる転倒予防の基本
家庭でできる基本的な対策はこちらです。
・滑り止めマットを敷く
・手すりを設置する(簡易手すりでもOK)
・椅子に座って体を洗う・拭く
・立ち上がる前に深呼吸をする
「立って動く」場面を減らすだけでも、
転倒リスクは大きく下げられます。
脱衣所で見落としがちな危険ポイント
脱衣所は「家の中だから大丈夫」と油断しやすい場所です。
・マットがズレていないか
・床が濡れていないか
・照明は足元まで見えるか
・服やタオルが床に置かれていないか
・軽い椅子を使っていないか
特に マットのズレ・軽い椅子 は
ヒヤリハットが多いポイントです。
看護師ママの体験談|現場で多かった転倒ケース
病棟・在宅・通所入浴の現場で、
浴室内の転倒 は本当に多く経験しました。
・床に頭を打った
・浴槽や台にぶつけた
・頭部裂傷
・慢性硬膜下血腫
・硬膜外出血
特に通所入浴では、
要支援・要介護の方は すり足歩行 が多く見られます。
麻痺、拘縮、跛行がある方も多く、
脱衣所と浴室の 1cmにも満たない段差 に
引っかかりそうになる場面を何度も介助しました。
健常者には問題ない段差が、
高齢者にとっては大きな危険になります。
今日からできる家庭での転倒予防チェック
・床は滑らない?
・立ち上がる動線は安全?
・夜間照明は足元まで見える?
一つずつ確認するだけでも、事故は防げます。
まとめ|入浴ケアは「安全第一」で
・転倒は「年齢のせい」ではない
・環境調整が最大の予防
・入浴ケアは無理をしないことが大切
入浴は体を清潔に保つ大切な時間。
だからこそ 「安全に終えること」 が何より重要です。



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