高齢者の脱水は「気づかれにくい」
高齢者の脱水は、夏だけの問題ではありません。
実際の医療・介護現場では、冬場・入浴後・夜間 にも多く見られます。
「脱水」と聞くと、
- 水分をあまり飲んでいない
- 汗をたくさんかいている
といったイメージを持たれがちですが、高齢者の場合は少し事情が違います。
- 喉の渇きを感じにくくなる
- トイレを気にして水分を控えてしまう
- 皮膚や筋肉に水分を蓄える力が低下している
こうした加齢による体の変化によって、
本人が自覚しないまま脱水が進行してしまう ことが少なくありません。
「ちゃんと飲んでいるつもり」「喉は渇いていない」
その言葉の裏で、体の中では静かに水分不足が進んでいることがあります。
脱水が引き起こす体へのリスク
脱水は、単なる「水分不足」ではありません。
体にとっては大きな負担となり、さまざまな不調の引き金になります。
- 立ちくらみ・ふらつき
- 食欲低下
- 便秘の悪化
- 尿路感染症
- 熱中症
- 意識障害
- 転倒
- 電解質異常によるけいれん
特に注意したいのが 入浴前後 です。
入浴すると体が温まり、血管が広がります。
その結果、汗や皮膚から水分が失われやすくなります。
脱水+入浴 が重なると、
- 転倒
- ヒートショック
- 立ちくらみ
といったリスクが一気に高まります。
「お風呂に入ったあと、なんとなく元気がない」
そんな時は、脱水を疑ってみる視点も大切です。
家庭でできる脱水チェック|ツルゴール反応とは
医療現場でよく使われている脱水評価のひとつに、
「ツルゴール反応」 があります。
これは 家庭でも簡単にできる観察方法 です。
ツルゴール反応のやり方
- 手の甲、またはお腹の皮膚を軽くつまむ
- 指を離す
- 皮膚の戻り方を観察する
判断の目安
- すぐに戻る → 問題なし
- 戻るのに少し時間がかかる → 軽度脱水の可能性
- シワが残る・戻りが悪い → 脱水が進んでいる可能性
看護師として働いていた頃は、
血圧や脈を測るのと同時にツルゴール反応を確認する 場面も多くありました。
介護者が日常的にこの反応を観察しておくことで、
医師へ早めに相談する判断材料 になります。
脱水サインは「口」と「尿」に出やすい
高齢者の脱水は、見た目にもサインが現れます。
- 口の中が乾いている
- 舌が赤い、ひび割れている
- 唇が乾燥している
- 尿の色が濃い
- 尿量が少ない
「今日はトイレの回数が少ないな」
「いつもよりお茶を飲んでいないな」
そんな 小さな違和感 が、脱水を防ぐ第一歩になります。
家庭では尿量を正確に測ることは難しいため、
尿の回数や色を意識する だけでも十分な観察になります。
入浴と脱水の深い関係
入浴中・入浴後は、想像以上に水分を失います。
- お湯の温度
- 入浴時間
- 浴室の湿度
これらの影響で、皮膚や呼吸から水分が奪われます。
特に注意したいのが、
「お風呂の前後で水分を摂らないこと」 です。
おすすめの水分補給タイミング
- 入浴30分前にコップ1杯
- 入浴後すぐにコップ1杯
一度にたくさん飲む必要はありません。
少量をこまめに が基本です。
水だけじゃない|高齢者に向いている飲み物
「水を飲みましょう」と言っても、
高齢者はなかなか進まないこともあります。
そんな時は、選択肢を広げてみましょう。
- 白湯
- 麦茶
- ほうじ茶
- 経口補水液(体調不良時)
- 味噌汁・スープ
食事からの水分補給 も、立派な脱水予防です。
「飲ませなきゃ」ではなく、
「自然に摂れる形」を意識することが続けるコツです。
看護師ママの体験談
病棟勤務時、
「なんとなく元気がない」と感じて確認すると、
軽度の脱水だった というケースを何度も経験しました。
特に消化器科勤務では、
- 下痢
- 嘔吐
が続く高齢者を多く看てきました。
高齢者は、
少しの下痢や嘔吐でも脱水傾向になりやすい のが特徴です。
血液検査をする前に、私は次の点をよく観察していました。
- 皮膚のカサカサ
- 唇のシワ
- 目の落ちくぼみ
- 口腔内の乾燥(※本人は自覚しにくい)
- 尿量(家庭では尿回数の記録がおすすめ)
これらを確認するだけで、
「脱水かもしれない」と気づけることが多かったです。
家庭でも同じです。
難しい医療知識がなくても、
「いつもと違う」に気づくことが一番のケア になります。
まとめ|脱水は家庭で防げる
- 高齢者の脱水は気づきにくい
- ツルゴール反応は家庭でできるチェック方法
- 入浴前後は特に注意が必要
- 水分補給は「少量こまめ」が基本
脱水は「年齢のせい」ではありません。
環境と気づきで防げるもの です。
無理なく、続けられる形で取り入れていきましょう。



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