高齢者の冷え対策|家庭でできる安全なあたため方 看護師ママが解説する“やさしい介護ケア”

介護ケア

高齢者が冷えやすい理由

高齢者の方が「冷えを感じやすい・冷え性になった」と訴える背景には、加齢に伴う体の変化があります。

まず、筋肉量の低下。

筋肉は体の熱をつくる“ヒーター”の役割を持っていますが、高齢になると筋肉の量が減り、熱産生が低下します。

次に、血流の低下。

血液は体の中で熱を運ぶ働きをしていますが、血流が弱くなると手足などの末端に十分な熱が届かず、冷えを感じやすくなります。

また、皮膚が薄くなって熱を外へ逃しやすくなること、そして温度を感じ取る神経の働きが鈍くなり、寒くても気づきにくいことも特徴です。

だからこそ、家族が気づいて声をかけてあげることが冷え対策の第一歩になります。

冷えがもたらす体の不調

冷えは「寒い」という不快感だけでなく、全身のさまざまな不調の原因になります。

  • 夜眠れない・こむら返りが起きる
  • 便秘や下痢など、お腹の調子の乱れ
  • 手足のしびれや関節痛
  • 食欲低下・倦怠感
  • 体力の低下、転倒リスクの増加
  • 免疫力低下で風邪をひきやすくなる

特に冬は体温が少し下がるだけでも免疫力が落ちるため、風邪や肺炎のリスクが高まります。

「いつもより食事量が少ない」「夜中に何度も起きる」など、小さな変化が冷えのサインであることも多いです。

家庭でできるあたため方の基本

高齢者の冷え対策は、難しいものではありません。

家庭で取り入れやすいケアを紹介します。

室温と湿度を整える(基本の冷え対策)

  • 室温:20〜23℃
  • 湿度:50〜60%

特に注意したいのが、脱衣所・トイレ・廊下との温度差です。

ヒートショックの多くは 浴室付近の急激な冷え が原因で起こります。

  • 小型のセラミックヒーター
  • 暖房つきの脱衣所ライト
  • 暖房の弱い部屋へのカーテン・空気の仕切り

などで温度差をできるだけ減らしましょう。

服装で温度調整をサポート

高齢者は汗をかいても気づきにくく、逆に脱ぎ着が不自由であることも。

服装のポイントは次の3つ。

  • 首・手首・足首の “3つのくび” を温める
  • 綿・ウールなど 吸湿性・保温性の高い素材
  • 室内では重ね着のしすぎに注意(動きにくさは転倒の原因に)

衣類と衣類の間に空気の層を作ると、効率よく体を温められます。

足元を中心に温める

人の体は “温かい血液が上に流れる” 性質があるため、足元を温めるだけでも全身がぽかぽかしてきます。

  • 足湯(40℃前後・10分)
  • レッグウォーマー
  • 厚手ソックス
  • 足元用カイロ(皮膚トラブルがない人のみ)

立ち上がりやすいように、足湯は洗面器より電気足湯器が安全な場合もあります。

入浴で血流を促す

入浴は最も効果的な冷え対策の一つです。

入浴の目安

  • 温度:38〜40℃
  • 時間:10〜15分

熱すぎるお湯は血圧変動が大きく危険です。

浴室をあらかじめ暖めておくことでヒートショック予防にもなります。

入浴後はすぐに保湿+水分補給を行い、湯冷めを防ぎましょう。

注意が必要な「やりすぎ温め」

温めるケアはとても良いのですが、過剰に行うと危険が伴います。

特に次の3つは注意が必要です。

① 電気毛布や湯たんぽの長時間使用

高齢者は温度を感じにくいため、低温やけどになりやすいです。

  • 電気毛布は寝る前にスイッチオフ
  • 湯たんぽはタオルで二重に巻く
  • 直接肌に触れないようにする

② 厚着のまま寝る

汗をかいて逆に体が冷えたり、

寝返りが妨げられて関節痛の原因になります。

③ 暖房の風が直接当たる

皮膚の乾燥はかゆみや湿疹の原因になります。

エアコンの向きを変えたり、加湿器と併用したりして調整しましょう。

季節ごとの冷え対策(冬・夏)

季節によって冷えの原因は異なります。

冬の冷え対策

  • 朝晩に室温チェック
  • 脱衣所・トイレとの温度差をなくす
  • お風呂上がりは浴室内で体を拭いてから出る(気化熱を減らす)
  • 温かい飲み物をこまめに

夏の冷え対策

夏でも高齢者は冷えています。

  • 冷房の風が当たらない位置に座る
  • 膝掛け・薄手ソックスで足元を守る
  • 冷たい飲み物を控えて、常温・温かい飲み物に
  • 扇風機は首振りにする

看護師ママの体験談とアドバイス

私が働いていた病棟では、冬になると

「寒いので布団を増やして」

「足が冷たくて眠れない」

というナースコールが必ず増えました。

病院は24時間同じ室温に設定されていますが、

高齢の方にとってはその一定の温度でも“寒すぎる”のです。

よく使っていたのが湯たんぽ。

布団に入れた瞬間からじんわり温まり、朝までぬくもりが残るため、患者さんの満足度がとても高かったです。

  • 首にタオルを巻く
  • 足元に膝掛け
  • 温かいお茶を飲む

といった本当に小さな工夫だけで、表情が柔らかくなり

「なんだかほっとするねぇ」とよく話されていました。

高齢者の冷え対策は “難しいことより、気づいて声をかけること” がいちばん効果があります。

まとめ|家庭でできる“ほっとする温かさ”を

高齢者の冷え対策は、特別な機器や高価なアイテムを揃える必要はありません。

  • 室温を整える
  • 足元を温める
  • 入浴で血流を促す
  • やりすぎ温めに注意
  • 季節に合わせて工夫する

このような小さな積み重ねが、体だけでなく“心の安心”にもつながります。

家族が「寒くない?」と一声かけるだけで、

高齢者にとっては大きな支えになります。

ぜひ、家庭でできる優しい温めケアを取り入れてみてくださいね。

【筆者:まみ】|くらしのケアノート

「家庭の困りごとにそっと寄り添う、くらしのケア図書館」をコンセプトに、
おうちでできるやさしいケアと、暮らしをラクにする知恵を発信しています。

正看護師として10年以上勤務。
脳外科病棟を中心に、ICU(集中治療室)との兼任を含む高度急性期医療から、
消化器科(一般病棟/がん専門病棟)、結核などの指定感染症管理まで幅広く経験しました。

その後、デイサービスにて介護・リハビリ領域の看護にも携わり、
生活期の視点からのケアや家族支援を実践しています。

1000km単位の転勤を2度経験した4児のワンオペ母。
30分以内で作れる時短料理と、無理しない家庭運営が得意です。

▼Instagram:@kurashi_care(準備中)
▼BOOTH:PDFテンプレ販売予定

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